ゴー宣DOJO

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笹幸恵
2015.7.12 03:10

奇跡の撤退

安倍首相は、このたびの安保法制でこう言っています。

 

「後方支援で危険が生じた場合には、

現場の部隊長の判断で直ちに活動を休止・避難する」

 

一見、自衛官の命を大切にしているように感じられる、

ヒューマニズムに満ちた言葉。

しかしそれって、そんなに容易くできるものでしょうか?

 

かつての日本軍は、奇跡的に二度、

「撤退」を成功させています。

それがどんなに危うい中で行われたことか。

 

一つは昭和182月に行われたガダルカナル島の撤退です。

撤退を容易にする目的で投入されたのが

「矢野大隊」という矢野桂二少佐以下約750名の部隊でした。

彼らは30歳前後の補充兵だったのですが、

予想に反して、じつに果敢に戦いました。

「日本軍の新鋭部隊が上陸した、すわ反攻か」と、

一時的にであれ、米軍をひるませ、攻撃の手を

緩めさせることに成功しました。

彼らの存在がなければ、米軍に撤退企図を見破られ、

作戦そのものが失敗していた可能性が高いでしょう。

彼らの「予想外の敢闘」があったからこそ、

奇跡の撤退ができたのです。

 

もう一つはキスカ島の撤退作戦です。

北方の孤島、キスカの守備隊を救出したのは、

木村昌福少将率いる第一水雷戦隊でした。

濃霧を利用し、敵に見つからないようキスカに

向かうという作戦でした。

昭和187月、一度はキスカに向けて出発しましたが、

途中で霧が晴れてきてしまいました。

木村司令官は、ここで引き返す決断をします。

周囲からは臆病者だと散々罵られました。

しかし彼は平然としていました。

そして数日後、再び救出作戦のためキスカに向かい、

見事にキスカ島の守備隊将兵を一人残らず救出したのです。

もちろん霧もかかっていました。

しかしそれ以上に恵まれたのは、警戒している米艦船が、

その日だけ、補給のために持ち場を離れていたことです。

 

撤退には、細心の注意を払わなければなりません。

一度決心したら決してブレない強さも必要です。

でも、もっと大切なのは、「運を味方につける」ことです。

「奇跡の撤退」といわれる二つの事例は、

作戦としては薄氷を踏むようなものでした。

しかし、それ以外に方法がなかった。

そして、矢野大隊の予想外の奮闘ぶり、

米艦船のたった一日だけの補給、

そうした幸運があって成功しました。

同じような作戦を立てても、三度目の奇跡は

ないかもしれません。

つまり、それだけ大変だということです。

何しろ撤退するとは、敵に背中を見せるということですから。

 

さて、安保法制。

現場が判断する、というけれど、

集団的自衛権を行使して現場にいるのに、

自分たちだけそんな勝手なことをしてもいいの?

他国の軍隊の迷惑では?

というより、作戦に支障を来すのでは?

上部の指揮系統はそれを許すのかな?

日本の信頼が失墜してしまうのでは?

また、避難するほど危険な状態なら、

どう考えても掩護が必要になります。

それって一体、どこの国の誰がやるの?

 

・・・疑問だらけです。

 

「命が大事」というヒューマニズムに満ちた「戦後の倫理」は、

戦闘の現場では通用せず、むしろ部隊の壊滅を

招く危険すらあります。

70年間、平和を貪ってきた私達は、

「戦中の倫理」を今こそ知らなければなりません。

 


 「戦中・戦後の倫理を問う」

平成27年8月2日(日)午後1時 から
『人事労務会館』 にて開催します。

「人事労務会館」
(住所:東京都品川区大崎2-4-3 )は、
JR山手線・埼京線・湘南新宿ライン・りんかい線
『大崎駅』 の 北改札口 を出て左へ、
「西口」 側の左階段を降りて、徒歩3分です。

毎回、会場の場所が分からず迷われる方が、多くいらっしゃいます。

人事労務会館のHPにて、場所をよくご確認の上、ご来場下さい絵文字:重要
(HP掲載の、駅から会場までの地図を印刷し、持参されることをオススメします )

詳しくは、 “ こちら ” でどうぞ。

8月2日の「ゴー宣道場」は、

『戦中・戦後の倫理を問う』と題して開催します。


今回はわしが司会をして、参加者を巻き込んで進行する。

 

わしを呼ぶ予定だった自民党リベラル派の勉強会が、

「安保法制に反対の小林よしのりを呼んではいかん」と

いう理由で、執行部によって潰され、自民党内では異論を

排除する全体主義が完成している。

 

同日に開催された安倍応援団の勉強会では、

「マスコミを懲らしめる」発言もあり、言論弾圧の兆候も

出始めた。

最初にこの問題でわしの見解を語る。

 

強行採決がいつ行われるか知らないが、安保法制について、

ゲストを交えた師範方で討論もしたい。


ゲストには、著書で慰安婦問題の新たな解決手段を
提案されている
松竹伸幸氏をゲストに迎える。


課題図書として

『慰安婦問題をこれで終わらせる』(松竹伸幸)

『沖縄戦 二十四歳の大隊長』(笹幸恵)

『卑怯者の島』(小林よしのり)

以上3冊をテキストにして、戦場や植民地での倫理観の

問題を議論することになる。

議論のテーマは状況に応じて変えるかもしれないので、

その都度、報告する。

当日、道場の入場料は、お一人様1000円です。


参加ご希望の方は、このweb上の申し込みフォームから申し込み可能です
絵文字:重要絵文字:パソコン

上 ↑ のメニュー「道場参加申し込み」もしくは下 ↓ の申し込みフォームバナー(画像)
クリックして、申し込みページにお進み下さい絵文字:よろしくお願いします
入力必須項目にご記入の上、お申し込み下さい絵文字:重要絵文字:メール

お申し込み後、記入されたメールアドレス宛に「申し込み確認メール」が届きますので、
ご記入内容に間違いがないか、よくご確認下さい。

※「申し込み確認メール」が届かない方は、以下のような原因が考えられます。

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reply@gosen-dojo.com」からのメールを受信できるよう再設定をお願い致します。

「申し込み確認メール」が届かない場合、当選メールも届かない可能性がありますので、
ご注意ください絵文字:重要


申し込み〆切後、当選された方にのみ「当選メール」を送らせて頂きます。

当選された方は、道場当日、
その「当選メール」をプリントアウトの上、会場までご持参下さい。

 道場参加申し込みフォーム

応募〆切 は 平成27年7/22(水) です。

当選通知の送付は、応募〆切後になりますので、しばらくお待ち下さい絵文字:よろしくお願いします

皆様からの多数のご応募、お待ちしております絵文字:重要絵文字:晴れ


笹幸恵

昭和49年、神奈川県生まれ。ジャーナリスト。大妻女子大学短期大学部卒業後、出版社の編集記者を経て、平成13年にフリーとなる。国内外の戦争遺跡巡りや、戦場となった地への慰霊巡拝などを続け、大東亜戦争をテーマにした記事や書籍を発表。現在は、戦友会である「全国ソロモン会」常任理事を務める。戦争経験者の講演会を中心とする近現代史研究会(PandA会)主宰。大妻女子大学非常勤講師。國學院大學大学院文学研究科博士前期課程修了(歴史学修士)。著書に『女ひとり玉砕の島を行く』(文藝春秋)、『「白紙召集」で散る-軍属たちのガダルカナル戦記』(新潮社)、『「日本男児」という生き方』(草思社)、『沖縄戦 二十四歳の大隊長』(学研パブリッシング)など。

次回の開催予定

第117回

第117回 令和6年 5/25 SAT
14:00~17:00

テーマ: ゴー宣DOJO in大阪「週刊文春を糾弾せよ!」

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